笑って泣いて!誰かの人生に寄り添う仕事
ヘルパーストーリー

ヘルパーストーリーvol.6

ヘルパーステーショングリーンプラザ博愛H.K さん

ヘルパー経験年数:
6年8ヶ月
役職:
得意な介護:

ヘルパーH.Kの春愁

「子育てを間違えたんやろか・・・。」硬くなった掌が泣いていた。

夫が出兵し家にいない間、M子さんの両肩には一家の生活が重くのしかかっていた。

夜明け前に畠へ行き暗くなるまで農作業をし、帰宅後は家事に追われ、とても子供たちにかまってやれるゆとりはなかった。

 90歳を過ぎて車椅子の生活になり、身の回りのことが思うようにできなくなった自分に無性に腹が立つ。家族との繋がりに不安を覚え自分の居場所がない。亡き夫のところへ早く行きたい。早く迎えに来てほしい。自分で命を絶つことができれば・・・。M子さんの孤独感は増していく。親のこころ子知らず、子のこころ親知らず。親子でボタンを掛け違えているように感じる。

 私自身、60歳を過ぎ体力の衰えを実感するようになった。いつかは私にも自分自身に腹立たしさを覚える日々が来るのだろう。そう思いながらM子さんの一言一言を傾聴していた。私にできることは何だろう。心を癒せる時間を1分でも1秒でも作ってあげたいと思った。