▼ここ数ヶ月は、ほんとうに話題に事欠かない。どれをとっても一言二言物申したいことばかりである。今回は、それを二言、三言。▼今年の4月以降、国政を大きく揺るがしている「後期高齢者医療制度」。制度の趣旨や課題を論ずるつもりはないが、福祉に携わるものとして、一言申し上げたい。「政治は誰のために、何のためにあるのか」と。「障害者やお年寄り、子どもに優しくない世の中は、病んでいる」社会だと、ある識者が言っていたが、今の高齢者は、あの悲惨な戦中戦後を苦労して生き抜き、戦後の復興を支えてきた、いわば礎の人達である。その人達を、病気がちだからといって(結果として)邪魔もの扱いにする、ないがしろする制度は、誰がどこから見ても理解されないだろう。明日はわが身”と若者までが不安を抱く制度では困る。“長寿医療制度”に名前を変えてそれで終わり、では済まない問題だ。▼今、若者の間で、「カニコー」が話題になってるとか。作家の小林多喜二の「蟹工船」の略語だと最近のテレビで知った。書店での本の売れ行きが急上昇し、増刷に次ぐ増刷をしているとか。いわゆる「仕掛け本」であるらしいのだが、「なぜ若者の間でこんなに?」と聞けば、今の“ワーキングプア”にあい通じるものがあるという。劣悪な労働環境で働く若者の共感を呼んでいるそうだ。戦後60余年たった今日、戦前の出来事がワープして今に現れるとは小林多喜二も想像だにしなかっただろう。▼さて、「蟹工」とまではいかないが、福祉の現場では、働き手が不足し、特に介護現場では悲鳴に近い状況に追い込まれている。作家の落合恵子さんが、母親の介護体験を振り返る雑誌の対談で次のようなコメントを述べた。「(介護の仕事は)本当に尊い仕事だと思うんですよ。でもヘルパーさん達をみていて、時給が正直低すぎる。日本は、ハードな、心のこもった仕事をしている人に対して、あまりにも給与が低すぎる。皆さんが物質的に豊かになることが、いい介護のスタートだと思います」。核心を突いたこのコメントに同感する。「まずやるべきことはここにあり」と言いたい。介護保険制度の根幹の問題である。京都府では、「福祉人材確保対策会議」を設置し、正面からこの課題に取り組み始めた。大いに期待したい。何よりもお年寄りや人間を大事にする世の中をつくるためにも。
