▼今年は、世界人権宣言が1948年12月に国連で採択されてから丁度60年目になる。人でいえば還暦である。世界人権宣言は第二次世界大戦後にこのような悲惨な戦争を二度と起こしてはならないということで国連で採択された。このような年に平和の祭典であるオリンピックが中国の北京で開催されたのは何か歴史的な巡りあわせである。中国といえば、日中戦争から太平洋戦争へと人権が蹂躙され多くの「いのち」が失われた無残で、悲しい戦争と、残留孤児の小説「大地の子」の舞台である。▼北京オリンピックのあと、ある新聞で「金メダルをとった選手も銅メダルをとった選手も共に競いあった相手に対する感謝の言葉がなかった」という記事を読んだ。なるほど、金メダルも銅メダルも相手があるからとれるものである。敗者は勝者に感謝、勝者は敗者に感謝の気持ちが必要ということはよくわかる。小林正観氏著の「『き・く・あ』の実践」という本がある。「き・く・あ」の「き」は競わない。「く」は比べない。「あ」は争わないである。これらの実践をすることで人は楽に生きることができるというものである。その中で「うさぎとカメの後日談」というくだりがある。カメが勝った翌日にウサギは再度競争を申し込み、今度はウサギが勝つのである。しかし、カメはウサギと一緒に競争する中で、自己ベストが出たと喜び、また次の競争では、景色を楽しみ、他のカメも連れて、楽しく一緒にゴールをする。それをみた、ウサギも他のウサギと一緒にカメと競争を楽しむというものである。「人権」も難しいことではなく、相手と共に喜びを共有することが基本なのかもしれない。▼人材確保対策で介護の職場の魅力を知ってもらおうとDVDを製作した。その中で介護に携わる職員が、約2時間近く利用者の食事が終わるのに付き合っていた。早朝、夜間の勤務が頻繁な撮影スタッフもその様子に感心していた。利用者の「人権」に寄り添うその職員は、「利用者が自らのペースで生活することで満足できること。」それが、介護者としての自分の喜びと感じているのではないかと思った。▼福祉に携わる私達は、常に自分にとっての利用者は誰か、そして、その人に寄り添い、その人の気持ちを第一に考えることを、今一度心に刻み、「人権」問題の先駆者となりたい。
