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もえくさ(2009年1月号)

あけましておめでとうございます。
この新年号の表紙を飾っている写真の「しめ縄」は、万葉集に見られる「標縄」、水を注いで連ねた故事から「注連縄」、また藁を七・五・三と垂らすところから「七五三縄」とも表記される。正月の玄関、神社の拝殿、相撲の横綱など、いずれも縄をかけた内側への不浄悪穢の侵入を防ぎ、清浄な状態に保たれることを示し願うものである。▼近年、侵入を防ぎたい悪戯が社会に噴出している。社会保障・社会福祉の玄関にも、頑丈なしめ縄を結ぶときである。昨年の新語・流行語大賞の候補には、「蟹工船」「後期高齢者」「ホームレス中学生」「汚染米」「ねんきん特別便」など、人間らしい生活と労働を求める多くの人々の実感が反映されていた。▼「人の命がこれほど軽くなった時代はない」(五木寛之氏)といわれるように、介護殺人や児童虐待死、10年連続自殺者3万人超、健康保険証がなく医療にかかれない子ども、医者不足・受診拒否で妊婦や乳児が死亡する事件など、痛ましい状況がある。労働分野では、昨年10月から今年の3月にかけて非正規雇用労働者の解雇・雇い止めが3万人を超える(厚生労働省調査)という。▼「炭鉱のカナリア」という言葉がある。今、このカナリアの役割を担っているのが派遣労働者やひきこもりなど「生きづらさの臨界」にある人々ではないかと警鐘する声がきかれる。▼ILOが、1999年に「『ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)』の実現」を提起してからちょうど10年。その戦略として掲げられた4つの柱(「働く人の権利」「雇用と収入」「社会的保護と社会保障の強化」「社会的対話の強化」)が、いま私たちの社会に改めて問われているように思う。▼「骨太方針2006」以来、毎年社会保障費が2200億円抑制されてきた路線が、ようやく軌道修正される流れが出てきたが、昨年の漢字「変」にあやかり「変化・変革」へと加速してほしい。▼今年は1月1日午前9時に、天文時刻と原子時計とのズレを調整する「うるう秒」が挿入された。この機会に、命や人間らしさが何よりも大切にされ、「安心感があり、誰もが生きやすい社会」へとリセットする、心新たな一歩を皆様方とご一緒に踏み出したい。
本年もよろしくお願いいたします。