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もえくさ(2010年3月)

▼年末年始に、娘がホームレスの炊出し支援に参加した。その公園には追悼のための『掲示板』が準備され、「名前」や「死因」「死亡場所」などが書かれていた。しかし、不明な点も多く"あだ名"や"年齢不詳"などの記載が目立つ。死因は、「溺死」「焼死」の他、「就寝中に車にひかれる」「刃物で刺される」など事故や犯罪に巻き込まれ死に至った人も多く、安心して死ぬことさえできないこの社会に驚いたという。▼1月31日に放送されたNHKスペシャル「無縁社会~『無縁死』3万2千人の衝撃~」が、「他人事とは思えない」と多くの反響を呼んだ。12年連続3万人を超え、自殺率は先進国の中でワースト2位の日本。そのうえ、誰にも知られずに死に、遺体の引き取り手もない「無縁死」が、2008年だけで3万2千人にものぼるという(NHK調べ)。家族や会社とのつながりを失い、故郷にも帰れず孤立して生きる人々。かつて紡いできた『地縁』『血縁』の絆を失い、いまは雇用破壊のもとで『社縁』まで失われる。貧困とともに、「無縁社会」が深く広がっている。▼仕事帰りに、山田洋次監督の映画「おとうと」を観に行った。この映画の『おとうと』は酒を飲むと大暴れするので皆からひたすら迷惑がられ、帰るべき家も故郷もなく最後は病気になり、身寄りのない人のための民間施設『みどりのいえ』で姉や温かい職員に看取られる。あらためて、家族や地域、職場における絆をしみじみと考えさせられる。▼京都府社協では、こうした社会的孤立の課題を取り上げ「孤立を見逃さない地域づくり」に取り組んでいる。市町村社協や民生委員をはじめ地域の人々と「孤立」や「無縁」という「絶望」ではなく、「安心と希望」を地域で互いにつなぐために。