▼今年の5月、百一歳の伯父さんが天寿を全うした。告別式で手渡された会葬御礼の挨拶文は「大好きなお父さん、いっぱいの愛情をありがとう」からはじまっていた。どんなにか、深い愛情に包まれた優しい親子関係であったのだろうと思う。▼一方、いま、各地で起こっている高齢者の行方不明問題に衝撃を受けている。全国の市区町村が百歳以上を対象にした『安否確認』では、271人の方々が所在不明(8月26日時点)であったという。白骨化して発見された物言わぬご遺体は、私たちに何を訴えているのだろうか。全く他人ごととは思えない。▼急速に進行する少子高齢化、『血縁』『地縁』『社縁』という『3つの縁(絆)』を失った「無縁社会」。止まらない貧困と格差社会。こういった社会の中で、高齢者・家族の社会的「孤立」状況は一層深刻化してきている。▼「仕事が無く、葬儀代も無かった息子」「必要なサービスが受けられない」「親の年金に頼らざるを得ないリストラや派遣切りをされた子ども」「一人暮らしの方がそのまま生死不明で〝行旅死亡〟に」「認知症による徘徊で行方不明」...浮き彫りにされた雇用破壊と貧困、家族で介護が支えられない実像、そして社会的孤立、貧困な社会保障。▼国や自治体では、年金不正受給や所在のチェックといった視点だけではなく、一人ひとりの高齢者の人生に寄り添いながら、生活と生きる権利をしっかり擁護していただきたい。▼「自分のことを心配してくれる人、相談できる人、頼れる人が一人でもそばにいてくれれば」「なんでも話せる友達がいてくれれば」「希わくは愛情に包まれながら天寿を全うしたい」そんな思いは私だけではないと思う。▼京都府内の市町村社協では、高齢者が安心と希望を持って住み続けられる地域社会となるように、「安否確認などの訪問活動」「高齢者見守り隊活動」「サロン活動」等を展開してきている。私たち一人ひとりも、今すぐできることとして、職場や地域、あるいは家族とも声を掛け合い、向き合うことからはじめてみませんか。▼8月31日京田辺市で最高気温38.2度、9月1日舞鶴市で38.3度を記録し、全国最高気温1位となるなど、今年の夏は記録的な猛暑で高齢者にとっても酷暑となった。どうぞ夏の疲れが出ませんように。そして、敬老の日には、名実ともに多年にわたり社会に尽くしてこられ、戦前戦後、人生を精一杯生き抜いてこられた高齢者の方々に、「ありがとう」と言える日に。
