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もえくさ(2016年11月)

▼本年4月に熊本地震が発災してから6ヵ月が過ぎた。今なお熊本県内に避難所が12ヵ所、避難者301人(10月4日現在)が生活されている。仮設住宅での生活を余儀なくされている方も多い。被災者、被災地域の早期復興を願う▼さて、筆者は30年前の学生時代に大阪西淀川で大気汚染の公害患者、家族へのヒアリングなど公害問題に関わった経験がある。被災地支援のため2回、熊本入りしたが、激震地に近い「水俣」のことが気になっていた。水俣病は工場排水の有機水銀により、近海で採れた魚介類を食し続けた人の命や身体の自由を奪う公害病だ。胎児性患者もいる。熊本地震発災直後の5月1日は水俣病の公式確認から60年とされる▼60年前、「原因不明の奇病」とされ大変怖がられたという。水銀中毒により身体が痺れ、話すことや歩くことが困難となる。さらに、学校でいじめを受ける、仕事に就けず、近所の誰もが寄り付かなくなるなど患者、家族は孤立を深めた。企業城下町の地域社会で、その企業を被告として闘う苦しさは察するに余りある▼ところで、貧困問題で苦しむ人々は、水俣病など公害患者や家族と重なり合うところがある。たしかに、貧困問題の場合の加害者は明確ではない。しかし、双方の問題とも、人間としての存在や尊厳が脅かされていて、経済成長優先の日本社会の歪みから生まれる社会の問題である。また、貧困問題は地域住民間での現れ方、受け止め方は複雑で、「本人が怠けている」「わがまま」「怖い」などと「困っている人が困った人」にされることがある。理解が不十分なこと、偏見や差別が背景にあることも類似している▼「苦海浄土」を著した石牟礼道子さんは、水俣病に苦しむ人々の暮らし、患者の目線で声なき声を言葉にすることで人間の存在の尊さに迫っている。この点、貧困問題はとても見えにくい問題である。より一層、さまざまな事情により困窮に陥っている人の声なき声を言葉にすることが大切で、人間の尊厳の意味を感じる必要があると思う。そのことを出発点として貧困をなくす地域づくり、脱生活困窮社会を目指したい。(T.S)